中国で昔、太陽が真上を通るところを赤い線で書いたことから名づけられた赤道。近づけば暑い、離れれば寒いのは周知の通り。この赤道を挟んで北半球と南半球では見える星座が異なる。ほかにも季節が逆、太陽の軌道が違う、渦巻きの向きも反対だ。南の島々でサンタクロースがサーフィンで登場する光景を思い浮かべる▼北半球で代表的な天体といえば北極星、南半球では南十字星だろう。南北反対に位置する国々からは見づらいが、南半球の星座が北半球の日本から全く見えないかというとそうではないらしい。日本でも南側なら南半球の星座の一部が見られる。北極圏と南極圏、それぞれ白夜の時の反対側は極夜で、星座好きにはたまらない▼久しぶりに鑑賞したプラネタリウムでは北米、ハワイ、豪州、南米、ニュージーランドなどを巡り、世界の星々に遭遇した。南十字星や天の川、都会では余り気にかけない星々を身近に感じることができた。同時に、世界は空でつながっていることを実感した▼同じ星に生まれた人間は平等だということを、世界で起きている混乱は忘れさせてしまう。同じ星座を目にできる北半球の国々であっても異なる考えや主張があるのは当然のことだ。だが、それを如何に押し付けようとしても、希望という名の星の輝きまで奪うことはできない。(22・5・16)

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