台湾のスマート産業は堅調さを保っている。新型コロナウイルス感染拡大で一時的な減速に陥っているものの、各社が東南アジアやインドを含む南アジアなど新市場への展開を強めている。また各国の製造業のスマート化推進を背景に、2020年の工作機械輸出額は2ケタ成長の可能性もある。

 台湾貿易センターによると、18年の機械生産高は1兆1800億台湾ドル(約4兆2600億円)と過去最高を記録、このうち輸出額は前年比7・3%伸びた。19年の輸出額は米中貿易摩擦の影響を受け同8%減少したものの、機械生産高は1兆1000億台湾ドル(約3兆9700億円)を維持した。交渉段階の新規案件も含め受注高は徐々に持ち直しつつある。

 今年1月の輸出額は新型コロナウイルスの影響もあり、前年同月比15・4%減の615億台湾ドル(約2220億円)と大きく落ち込んだ。しかし、メーカー各社が製造拠点を台湾に戻し生産ラインを拡大しているほか、中国以南の新市場開拓を推進、拡大に向けた準備に注力している。

 世界規模で製造業の自動化に向けた動きも加速している。台湾のスマート機械産業は、強力なICT産業チェーンと精緻な機械技術を統合、包括的なスマート生産ソリューションを提供。各国に応じた製造システムのアップグレード、生産最適化ニーズに応えることができる。これらを背景に輸出額は持ち直してくるとみられる。台湾機械工業会は、20年の工作機械輸出額は前年比5~10%成長すると見込んでいる。

 台湾のスマート工作機械業界は、ICT産業、メディカル関連産業をはじめ多様な先端企業と近接・連携する点が強み。IIoT(産業用モノのインターネット)と連携するデジタル制御システム、スマート機械監視システム、無軌道走行型ロボットなどで急速に力をつけている。

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