きょうから始まった「歯と口の健康週間」。戦後だけでも口腔衛生週間、口腔衛生強調運動、歯の衛生週間などと呼び名は移り変わったが、国民に正しい知識を普及啓発し、歯科疾患の予防と早期発見、早期治療を励行するという目的は変わらない▼不要不急でないことは確かなのだが、あの痛さは待ってくれない。感染リスクが高いとして警戒された歯科医院は、もちろん緊急事態宣言中の休業要請対象ではなく、医院側の徹底した院内感染対策もあって助かった人も多いことだろう▼この間、我慢していたものの一つに理容室、いわゆる床屋も当てはまるだろう。都が休業要請を見送ったことで話題になったが、三密を警戒し客足も遠退いた。営業を続けた店では客同士の間隔を空けるなど防止対策を徹底した▼何もしなくても伸びるものは伸びる。我慢も数カ月にわたると限界に近づき、自粛とばかりは言っていられない。自粛対象外ではあるが、緊急事態宣言が解除された先週末は、たまりかねた人達が間隔を空けながら列をなしていた▼自粛に自粛を重ねてきた飲食店では店内の雰囲気が一挙に変わった。ファミリーレストランでは家族連れの順番待ちも見かけたほどで、自粛疲れが至る所に見てとれた。色々なものを犠牲にしてせっかく築いた成果、我慢の糸が切れては台無しだ。(20・6・4)

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