名城大学の神野透人教授らの研究グループは12日、PCRを用いた新型コロナウイルス変異株の簡単、迅速な識別法を開発したと発表した。DNAの2本鎖が1本鎖になる融点が変異個所によって異なることに着目。DNAに蛍光色素を導入し、融点と蛍光強度を測定することで変異個所を同定できる。約90分で識別できるため、行政の対応などへの助けとなりそうだ。

 高解像度融解曲線分析(HRM)を応用した変異株同定法を開発した。PCR後のDNAに蛍光色素を導入、加熱すると塩基の変異個所によって異なる蛍光ピークを示し、異なる融点を持つ変異株を分類できる。実験ではN501の変異に対して、感度93・3%だった。

 主要な変異7個所の蛍光ピークは同定ずみ。実証はN501変異だけだが、理論上は現在流行中の全変異株を同定可能という。PCR後にHRMの時間を追加で15分程度とるだけで分析が可能になるため、感染症対策の迅速化に大きく貢献するとしている。

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