東京医科歯科大学の武内寛明准教授らは2日、同大での新型コロナウイルス全ゲノム解析の結果、デルタ株の特徴を有するオミクロン株「BA.2」新系統の市中感染事例を確認したと発表した。4月中旬にかけて同大で診察した患者から発見した。武内准教授は、感染力が高まっている可能性を指摘したうえで、拡大防止策を継続・再徹底する重要性を訴えた。

 同系統の市中感染事例を確認したのは今回が初。変異パターンが従来とは違うため、国内由来の新系統だとした。4月中旬に入院した患者2人の検体から確認し、いずれも海外渡航歴がなかったことから市中感染だと結論付けた。症状については軽症だといい、ワクチン接種は2人とも3回行っていた。年齢に関しては「若年層ではない」(武内准教授)としている。

 今回判明した新系統は、BA.2にデルタ株の特徴的変異部位が追加されていた。変異部位が異なるものの、海外でもデルタ株の特徴を持つBA.2の存在が複数の国・地域で確認されており、武内准教授によると、例えば、米国では感染再拡大の一因になっているという。加えて、海外の疫学情報を踏まえると感染力が高まる傾向にあるともしている。

 そのため、重症度などについてはまだ明らかにはなっていないが、武内准教授は、今回の新系統が国内で流行した場合、患者数が「下げ止まり、長引く可能性がある」と指摘。改めて感染拡大防止策に取り組むことが欠かせないとした。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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