2020年第1四半期の国産ナフサ基準価格は1キロリットル当たり4万4800円で、前四半期比3500円(8・5%)上昇した。第2四半期は新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、2万円台に急落することが確実。裁定玉の流入や石化製品需要の低迷がアジア市況の重しとなっており、経済活動再開の見通しがなければ反発が難しい状況だ。

 ナフサの輸入価格は入着1カ月半ほど前に決まり、入着時の為替で円換算される。市況は第1四半期半ばまで1トン当たり500ドル台半ば~600ドル弱で推移。一時、1キロリットル当たり4万7000円程度への上昇も見込まれたが、1月下旬以降、中国で新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、終盤は下落に転じたことなどで上昇幅が抑えられた。

 第2四半期の国産ナフサ価格は新型コロナの影響を反映し、2万円台前半までの大幅下落が見込まれる。市況は足元1トン当たり210ドル前後。1月下旬の半値に満たない。原油、石化製品需要が低迷しているため上昇に転じる期待は少ない。

 4月前半までの市況は域外品の流入増が重しとなった。欧米では都市封鎖で輸送燃料需要が落ち込み、ガソリン基材用ナフサの引き合いが激減。行き場を失った欧米品がアジアに流れた。アメレックス・エナジー・コムの柳本浩希石化原料部長によると、5月入着分の域外品は230万トン程度。通常の6~7割増えた。

 域外品流入は沈静化。海上運賃の上昇で裁定玉が働きづらくなっている。相関関係を持つブレント原油先物価格は期近物が期先物を下回る需要低迷の状況。ナフサ輸送の大型船を原油貯蔵に充て期先物として販売する動きが強まり、ナフサ用船腹がひっ迫し通常40ドル程度の運賃が90ドル以上になっているという。運賃の上昇が市況を下支え。液化石油ガス価格の高止まりでナフサへの切り替えも進み、アジアのエチレン設備ではスポット需要も堅調だが、ナフサ市況が反転上昇する展望は難しい。

 ナフサとオレフィンの値差はプロピレンは400~450ドルと堅調だが、エチレンとブタジエンは100ドル強と低水準。川下の需要が低迷しているためだ。「石化製品向けのマージンの低さがナフサの上値を抑えている」。原油価格が上昇しても、ナフサに上昇余力が少ない。反転上昇には原油需要だけでなく、生産活動の再開にともなう石化製品需要の改善も必要で、都市封鎖から経済の再開への道筋が求められる。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

市況の最新記事もっと見る