国立国際医療研究センター(NCGM)は、新型コロナウイルス感染症回復者から採取した血漿を患者に投与し、有効性を評価するための研究を開始した。発症5日以内で60歳以上または基礎疾患を有するなどの条件を満たした患者が対象。新型コロナウイルスへの中和抗体価によって投与量を決めるのがポイントだ。NCGMからまず進め、国内5施設での実施を予定する。 特定臨床研究として先月にスタートした。目標症例数は200例。多施設非盲検ランダム化比較試験として実施していく。鼻咽頭での投与後5日目までのウイルスの減少量で有効性を評価する。 十分な抗体価を持つ160人分の血漿をNCGMでは採取・保存済みで、今回の取り組みではそれを活用する。中和抗体価の高い血漿を投与することで、より効果が発揮できるとにらむ。併せて、ハムスターなどでの動物実験で得た知見も参考に研究をデザインした。 昨年10月から今年2月にかけて行った中等症患者11人を対象とした研究では、10人が軽快退院している。残る1人は死亡したものの、投与との因果関係はないといい、関連有害事象は発生しなかったとしている。国立感染症研究所や日本赤十字社とも連携し、投与血漿の安全性の確保を図る。 NCGM国際感染症センターの忽那賢志医長は、「有効性を示すことができれば治療の重要な選択肢になる」と強調。全国展開も視野に入れており、「今後どのような体制が良いかを考えていきたい」と語った。

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