地域の催しもコロナの影響で相次ぎ中止・延期を余儀なくされ、ただでさえ近隣住民同士の関係が希薄化している昨今の情勢に追い打ちをかけている。とくに新興住宅地を抱える地域では古くからの住人と、新たに居を構えた人達が触れ合うきっかけすらなくなってしまっている▼その絆を築く一つが各地にある自治会だが、会員数の減少に頭を抱えるところが多いようだ。会員同士の親睦や福祉増進、自主防災・災害時避難体制といった会員になるメリットよりも、近隣住人との関係の煩わしさ、輪番で回ってくる班長の負担といったことに臆する人が多いためだ▼そんななかでも会員で居続ける大きな理由の一つに、ごみ出しの問題がある。しっかり決まりを守って、回りからも指摘されずに、自治会が関与するごみ置き場にも堂々とごみ出しできる立場になることだ。入会する人の理由の多くも、それに絡んだものが多いと聞く▼ほとんどの自治会規約には「正当な理由なくして入会を拒んではならない」とある。自粛傾向が強まる昨今だが、地域とのコミュニケーションが育める状態をどう維持していけばいいのか。ごみ出し問題が一つのきっかけになるとすれば意外である。政府が掲げるプラごみ一括回収制度が導入されるとすれば、自治会の必要性もさらに増すだろうか。(20・7・30)

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