千葉県のローカル鉄道、銚子電鉄。経営危機を救った「ぬれ煎」が有名だが、2021年度決算は6期ぶりの黒字となった。鉄道部門は赤字だったものの物販部門が好調で、国などからの補助金もあって21万円の純利益を計上した▼売上高は完全に主客転倒している。鉄道部門が8000万円弱に対して物販部門は5倍以上の4・5億円。もともとは副業の物販部門だったが、オンライン販売に力を入れてきた結果、会社の経営を支える屋台骨となった▼飛行機ファンの間で話題となり、マスコミにも取り上げられたのが羽田空港-オホーツク紋別空港を往復する「紋別タッチ」。羽田からの便で到着後、わずか40分で帰りの便に乗って折り返す。できるだけ多くのマイルやポイントを貯めるのが目的▼目をつけたのは紋別空港の運航管理会社。空港スタッフの厚いおもてなしやスタンプによるポイントサービスでリピーターを増やしている。この効果によって羽田-紋別の搭乗率は回復傾向にある▼地方の交通機関は人口減少で経営は厳しく、事業存続の是非が俎上に載ることも多くなった。しかし地元の生活を守る役割は重く、収益面だけでは割り切れない。紋別市の場合、東京から通っている医師がいるため減便は避けたいという。逆境下で生き残りを目指す取り組みに期待したい。(22・7・22)

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