埼玉県で「エスカレーターを、必ず立ち止まった状態で利用する」ことを求める条例が成立した。どうやら日本初のようだ。自民党県議団が提案した条例だが、当初は自民党内でも賛否両論があったという▼「マナーを条例で定めるのはいかがなものか」「そもそも歩いたり走ったりすることを前提に設計されていない」「右側を走る人と、荷物がぶつかっての事故がある」等々。だいたい議論がそのようになるのは予想がつく▼急ぐ人はエスカレーターではなく階段を走ったり歩いたりすればいい。と言うと今度は、階段がなくてエスカレーターだけの昇降口もあると反論。水掛け論はいつまでたっても終わらない▼これに終止符を打ってもらって、県民の一人として、個人的には歓迎だ。「駆け上がれる元気な方を基準にするのではなく、それによって危険な状態になる、歩いては利用できない方の立場を守るのが社会的責任」という観点からの決断だったと、ある議員が県政レポートで紹介しているが、正論だろう▼今年の10月から適用になる。罰則があってもなかなか守れない横断歩道一時停車の例もある。楽観はできないが、県民の良識に期待したい。トラブルの元になりかねないが、ちょっとした声かけが大事なのではないか。化学業界に属する埼玉県民諸氏、頑張りましょう。(21・4・7)

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