塩野義製薬は1日、同社が創製した新型コロナウイルス感染症経口薬「S-217622」の中国生産の検討に入ったことを明らかにした。従来、インドで生産を計画していたが候補地を中国に変更、現地企業に委託するかたちで実現を目指す。現在、中国では承認申請に向けた資料提出を始めている。同国でも生産できるようにすることで、海外でも安定供給が可能な体制を敷く。

 1日開催の2023年3月期第一四半期決算説明会の席上、木山竜一上席執行役員が説明した。217622に関しては、国内では年1000万人分の供給体制構築に向け、生産拡大を図っている。さらなる供給拡大を目標に、米国に加え、中国でも製造体制を整えたい考えだ。

 国内では継続審議となっているが、進行中の第3相臨床試験(P3)の結果を踏まえ、再度挑戦することになる。足元、P3などの症例登録は完了したといい、今年上期中には「P3結果速報を入手予定」(木山上席執行役員)。濃厚接触後の発症予防、12歳未満の小児を対象とした適応拡大に向けた各種試験の準備も急ぐ。

 一方、開発中の新型コロナワクチン「S-268019」に関しては、国内製造販売承認申請の見通しを、9月までにと後ろ倒しした。データの解析や量産化を図るうえでの課題解決に時間を要しているため。これまで6~7月にかけ申請するとの方針を示していた。

 今期の業績見通しは見直さず、据え置いた。通期で1100億円の売上収益を予想する新型コロナウイルス治療薬・ワクチンでは開発の遅れがみられるものの、それ以外の製品の売上収益、各種利益項目は順調に推移している。そのため、現時点で通期予想を修正することなく達成できる見込みだとした。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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