国産の新型コロナウイルスワクチンの開発が進展してきた。塩野義製薬と第一三共は21日、それぞれ開発しているワクチンについて初期の安全性と免疫反応を確認できたとして、第2段階の臨床試験(治験)実施を発表した。塩野義は3100人規模の治験を開始し、さらに大規模な最終治験なども年内に始める。第一三共も来月に第2段階、今年度中に最終段階の治験に着手する。塩野義は来春、第一三共は来年中の実用化を目指していく。

 塩野義は8月から実施している第1/2相臨床試験(P1/2)で、中和抗体価の上昇と安全性を確認。20歳以上の日本人約3100人を対象とするP2/3に移行して、今月20日から1回目の接種を開始した。比較するワクチンやプラセボ群を設定せず、中和抗体価による免疫原性や忍容性、安全性を評価する。さらに次の段階のP3も年内に始める予定。海外も含めた数万人規模の大規模治験や、3回目接種としてのブースター試験などを検討中。来年3月の供給開始を目指している。

 第一三共も今年3月から実施しているP1/2で、初期の安全性と免疫原性を確認した。来月からP2、来年3月までにP3を始める。ブースター試験についても1月にスタートする予定。各治験の規模やデザインは検討中というが、来年中の国内実用化を目指す。国産初のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンとなる。

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