塩野義製薬は、同社が開発中の新型コロナウイルスワクチンで抗原特異的なIgG抗体価の上昇を確認するとともに、抗原たんぱくと免疫増強剤(アジュバント)の組み合わせを決めたことを明らかにした。共同研究先である国立感染症研究所(感染研)などとのマウスによる免疫原性試験を通じ選定した。非臨床試験を急ぎ、年内の治験開始を目指していく。

 現在、同社は子会社UMNファーマを通じて、昆虫細胞などを利用した独自技術「BEVS」による遺伝子組み換えたんぱくワクチンの開発を進めている。塩野義は共同研究先とともに複数の抗原たんぱく候補を調製し、併せてアジュバント候補の絞り込みも行っていた。今回、IgG抗体価上昇が確認できたと同時に、ウイルス中和活性を誘導する抗原たんぱくとアジュバントの組み合わせを選ぶところにまでこぎ着けた。

 一方、日本大学などと実用化を目指している革新的核酸増幅法(SATIC法)によるウイルス迅速診断キットについては提供開始時期を12月に見直す。当初は9月を予定していたが、十分な供給体制の確保が必要と判断し後ろ倒しする。また、すでに研究用試薬として発売しているIgG/IgM抗体検出キットについては、利便性を高めることを目的に1キット当たり50試験分から同20試験分に変更、一本化した。

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