外国人技能実習生の実習期間を延長する移行職種認定が化学関連業種でも増えているが、新型コロナウイルスの動向がその船出に影響を及ぼしそうだ。今年1月に認定を受けたRPF(固形燃料)製造は採用面接の実施に支障が出ており、年内の受け入れを危ぶんでいる。3月にはゴム製品製造も認定を受けたほか、ペレットなど押出造粒の業界でも認定取得に向けた組織が立ち上がったが、コロナの動向次第では取り組みの予定が後ろ倒しになる可能性がある。

 技能実習制度における実習期間は1号(1年)、2号(3年)、3号(5年)があり、1年目の1号の実習生は所定の試験を受けて合格することで2号、3号に移行できる。この2号以上に移行できる職種は試験運営機関の体制整備や技能実習計画などの内容について厚生労働省の専門家会議で審議され、パブリックコメントを経て認可を受ける必要がある。

 古紙や廃プラスチックなどの産業廃棄物を主原料に固形燃料を製造する企業で構成される日本RPF工業会は、今年1月に「RPF製造」として移行職種の認定を受けた。現地での採用面接および約半年の事前研修を経て早ければ今年夏にも受け入れを開始できるはずだったが、コロナで面接自体が実施できない状況で、受け入れは早くても年内になりそうだという。企業によっては面接をリモートで実施したり、受け入れを担う機関に一任したりするケースもあるもようだが、「実際に雇う人材は会って確かめたいと考える企業が多い」(同工業会)という。日本ゴム工業会も3月に「ゴム製品製造」として移行職種の認定を受けたが、試験実施の準備が必要なことに加え、コロナの影響が試験運営の開始時期にどこまで影響を及ぼすか注目される。

 3月にはリサイクルを含めたペレットやマスターバッチの業界有志が移行職種の認定、試験運営団体となることを目指し、プラスチック押出造粒技能評価機構を発足させた。日本の技術を学んでもらうことで海洋プラスチックごみ問題の国際的な解決にも資することを目的としている。認定に要する期間は最短1年半を期待するが、コロナで専門家会議の開催が従来通りのペースで進まない可能性もある。認定まで通算5回の会議が実施された日本RPF工業会では、コロナの感染拡大で会議の開催が遅れがちになり、予定より認可取得時期が半年延びたという。このため新規の認定取得はコロナに左右される可能性もある。

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