多様性やダイバーシティとは何か。それは、単に男女が平等とか、人種差別をしてはいけないとか、そんな意味ではない。男女は同じではない。国や人種が違えば、肌の色や文化や宗教も違う。違うという前提があって、そのうえで誰の意見であっても排除しない。そういう概念であるはずだ▼ところが現実には、違いを指摘することが悪であると理解され、糾弾の対象となる。それでは結局、多様性を欠いている。立場や文化や考えの異なる人たちのさまざまなアイデアは、社会の進歩や発展を促すルツボであって、その騒々しさこそが健全な人間社会ではないのか▼さて、より良い社会を実現するスマートシティとはどんな街か。頭のなかで想像するそれは、再生可能なエネルギーが自給され、廃棄物は可能な限りリサイクルされる街。高度な情報通信インフラを通じ、医療も移動も物流もセキュリティーも快適にサービスされる街。一方で、多様な植物や動物たちと共存できる街だろうか▼だが、それだけでは足りない。この数日で、この国の宿命ともいえる2つの自然災害が相次ぎ列島を襲った。近い将来、もっと酷い地震や大雨が襲ってくると予想されている。さまざまな人々の、場合によっては突拍子もない意見も取り入れ、そういうものに耐えられる街を実現すれば良い。(21・2・16)

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