関東は鰹だしの濃い味、関西は昆布だしで薄味。関東のきつね蕎麦は関西ではたぬき蕎麦。そもそも一方は蕎麦文化、一方はうどん文化。双方で180度異なるケースはいろいろある。これが日本全体でみればさらに増え、その地方で独特なものも無数にある▼他の地域に住む人からみれば珍しかったり違和感を感じることも多く、これを題材にしたテレビ番組は人気を博している。かつて西日本から上京した際、黒くて辛い関東の蕎麦の汁を飲むのに苦労した。それが今では当たり前になり、無性に食したくなることも時々ある▼要するに慣れてしまえば当たり前になり、それが常識になる。人種・性別・年齢など一切関係なく、全ての人が持てる力を発揮できる多様性が求められる社会。海外の文化を取り入れ発展させ、この狭い国土の中でそれぞれ独自の文化を築いてきた日本には、それらを受け入れる土壌があるに違いない▼どうやら東京オリンピックは開催の方向で進み、いつの間にか観客数をどうするかに話題が移っていった。やるとなったら日本中が盛り上がり、異例づくしの中でも成功裡に終わって欲しいものだ。多様性に馴染んできた日本人なら、誰しもそう思うに違いない。そして4年後は大阪万博。その頃は無条件で大勢の人が集える状況になっていることだろう。(21・6・24)

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