カーボンニュートラルや脱炭素、そして持続可能な社会の実現に資する技術として実用化が期待されるメタネーション。同技術を駆使し、都市ガスの主成分であるメタンを作り出そうと各社が研究開発に励んでいる。とりわけ活発化しているのが大阪だ。大阪を代表する企業である大阪ガス、日立造船は、ともに大阪市内にメタネーションに関連する施設を立ち上げるなど、事業化を目指して取り組みに拍車をかけている。

 大阪ガスは今年10月、エネルギー技術研究所(大阪市此花区)内にカーボンニュートラル技術の研究開発拠点として「カーボンニュートラルリサーチハブ」(CNRH)を開設した。今後、CNRHにおいて、固体酸化物型電気分解セル(SOEC)などを活用して、85~90%と非常に高い再生可能エネルギー由来電力のメタンへの変換効率が所期される革新的なメタネーションの実現に挑む。

 大阪ガス式メタネーションは2つの装置で構成。SOEC電解装置で、ボイラーで気化した水蒸気と工場から排出される二酸化炭素(CO2)を再エネ電力を使って共電解することで、水素(H2)と一酸化炭素(CO)を生成。次いでメタン合成装置でH2とCOを触媒反応させてメタンを作り出す。メタン合成時に生じる水と排熱はボイラーで有効活用する。

 2030年までに基本技術を確立させる。22年3月にはSOECメタネーションの専用ラボを設立する予定など、研究開発を加速させる。

 一方、日立造船では今年11月に、築港工場(大阪市大正区)内に新設したパワーtoガス(PtG)の事業化推進拠点「PtGスクエア」の本格運用を開始した。独自の高効率メタネーション用触媒を使用して、グリーン水素とCO2を反応させてメタンを合成する。PtGスクエア内の水電解エリアでは、グリーン水素を生成する水電解装置の主要機器である電解槽(電解セル)の組み立てなど、メタネーションエリアで高効率メタネーション用触媒の開発、評価などを行う。

 屋外にはメタネーション実証設備を設けている。メタン生産能力は1時間当たり12・5ノルマル立方メートル。1年間稼働させた場合、200トンのCO2をメタンに変換できる規模の設備という。

 日立造船は30年ごろをめどにPtG事業で売上高100億円の達成を目標に掲げており、PtGスクエアで事業化を推し進める。

 CNRH、PtGスクエアは、ともに大阪湾の沿岸に所在している。メタネーションの最先端研究開発地域に発展していくことを期待したい。

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