「大阪」をめぐる大きな再編劇が2つ進んでいる。もちろん進捗状況に差はあり、一方は実現するかどうかまだ分からない▼大阪府立大と大阪市立大が2022年4月に統合し、「大阪公立大学」が開学する予定だ。大阪公立大は府大の4学域、市大の8学部を1学域11学部に再編。学部入学定員は約2800人となり、全国の国公立大で大阪大、東京大に次ぐ3番目の規模になる▼人口減少社会、グローバル化時代に大学間競争を勝ち抜いていくには、一定の規模を誇る高度研究型の大学をつくり、スケールメリットを生かし世界的なプレゼンスを上げていく必要があるとの判断だ。そして、産学連携、卒業生の就職などを通じ大阪の経済、文化総合的な基盤強化につなげようという狙いだろう▼行政の再編も決断を迫られる日が近づいてきた。大阪市を廃止して4つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う住民投票が来月1日投開票される。推進派が「府と市による二重行政とおさらばする」といえば、反対派は「財源不足にともない住民サービスが低下する」と応じる。130年以上続いた大阪市がなくなってほしくないという心情も根強いようだ▼理と情の複雑なからみあいの中の総合的な判断が下される。11月1日は日曜。テレビの前に釘付けになる人は全国的にかなり多いだろう。(20・10・21)

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