家にこもる時間が長くなって増えるかと思っていた読書時間だが、実は大幅に減っていた。それもそのはず、通勤電車乗車中の読書時間が丸々なくなっている。乗車時間は往復70分。1週間一度も会社に出勤しないと6時間近くの読書時間が消失する。6時間もあればだいたい1冊読める。ひと月で4冊、年間50冊近く。これが読めない▼そんなことはあるまい。電車に乗っていなくても時間は同じ時間。家で読めば良いではないか。理屈をいえばそうだが、なかなかそうはいかない。個人的な感じ方なのだろうが、出社していない負い目のようなものがあり、通勤時間相当分を業務にあててしまいがちである▼在宅勤務は区切りがつけにくく労働時間が長くなりがちとは常指摘されていることだが、この「負い目」というのもやっかいなのだ。ともあれ、失った読書時間をそのままにはしておけない。知の欲求は人間存在の本質的欲求である▼では、どうするか? 運動も不足していることだし、朝起きてリフレッシュした頭でする読書は吸収力が高いともいうので、こんなことを始めた。始業前の30分、フィットネスバイクに乗って、タブレット端末で電子書籍を読むのである。ペダルを漕ぎながらなので集中力は落ちるが、何もしないよりはまし。一挙両得を期待しているが、さて…。(21・1・20)

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