現在の会計年度の始まりは明治19年。当時は税収の大部分を米に頼っていたため、農家が秋に収穫、それを現金化して納税し、それから予算を編成すると1月では間に合わず、4月からとするのが都合が良かった▼この頃、世界一の経済力を誇った英国に倣って会計年度を4月からにしたという説もある。だが、当時の大蔵卿だった松方正義が赤字を解消するため、次年度の予算を繰り上げたり期間を短くして帳尻を合わせを行った結果、今の会計年度になったのが正解であるらしい▼国の予算で運営されている学校も会計年度に合わせて必然的に4月始まりとなった。その頃、中学校や師範学校の多くは9月からだったが、当時の文部省の指示により高等師範学校が変更し、その後全国の学校に広がっていった▼昭和に入って4月からの学校年度にほぼ統一された。戦後には新卒の一斉就職が一般化したことから、それにともなって民間企業のほとんどが4月からを新年度とした。そしてまた、新たな年度がスタートした▼今年は例年とかなり異なり、企業の入社式は中止や延期、または規模が縮小された。様々なかたちで発信されたトップのメッセージは、この状況を乗り切り、未来への行動を投げかけた。この異常事態の中で発せられた様々な思い、新入社員はどう受け止めただろう。(20・4・2)

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