きょうから11月。旧暦では霜月だが、神帰月という別称もある。日本中の八百万の神々が出雲大社に集まり各地に神が不在となる10月の神無月に対し、地元に帰ってくるからこう呼ばれている。11月は魚、野菜、果物と食欲の秋を満喫できる。神様も地元に戻って旬の味を楽しむのだろう▼しかし養殖や栽培といった技術が進化し、流通網も発達した現代では、大抵の食べ物を入手できる。24時間営業のスーパーでいつでも買い物できるし、ネットショッピングならいつでもどこでも注文できる。ただ季節外れの物は高価なため、値段を確認したとき逆に季節感を感じたりする▼流通の発達は著しい。北は北海道から南は九州まで全国各地で朝に獲れた鮮魚を、その日の昼に東京で食べることも可能になった。羽田空港に空輸された各地の鮮魚が東京の店舗に届く。これまで地方でしか流通していなかった聞き慣れない名前の魚を目にする機会が増えている。流通革命によって地方独特の食べ物が身近になりつつある▼シンガポール駐在時代、最も残念だったのがコンビニ。日本のコンビニと違い、いつ行っても定番の商品しか並んでいない。シンガポール人にそう伝えると、「いやシンガポールにも季節は3つある。ホット、ホッター、ホッテスト」という定番の答えが返ってくる。(21・11・1)

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