日本で産出される宝石の一つが5月の誕生石でもある翡翠(ひすい)。日本鉱物科学会が「国石」として選定している。縄文時代の遺跡から耳飾玉が見つかるなど日本の翡翠文化は世界最古といわれる▼翡翠はナトリウム、アルミニウムなどありふれた元素からできているが硬度は6・5以上と非常に硬い。約5億年前の地殻変動にともない地下20~30キロで生まれ、蛇紋岩層とともに地表に出てきたとされる▼翡翠の産地として知られるのは新潟県の糸魚川周辺だが、県境を挟んで富山県朝日町の海岸でも翡翠の原石が見つかる。現地では地元の目利きが無料で鑑定してくれるというので筆者も探してみたが、10個のうち石英が1個だけで残りはただの石。翡翠は硬くて丸くならないため角張った形のものを探すとよいそうだ▼同じ石でも厄介者扱いされているのが軽石。8月に小笠原諸島の海底火山・福徳岡ノ場の噴火で大量に発生した軽石は2カ月かけて沖縄地方に漂着。養殖魚が誤飲して大量に死んだり漁船が出港できなくなるなどの被害が出ている▼海洋機構はシミュレーションを行い、今後は黒潮に乗って東海・関東地方に近づく可能性があると指摘。JAXAも人工衛星を使って軽石の分布状況を把握、関係機関に情報提供を行っている。被害を広げない手立てはあるはずだ。(21・11・5)

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