「亭主元気で留守がいい」は共稼ぎ世帯には通用しないだろう。かつてのテレビCMで流行った言葉に、家の中で厄介者扱いされる父親の寂しさを感じた。会社人間と言われる人達が多数を占めた時代、とにかく家庭で父親の居場所を見つけるのに苦労していたようだ▼「地震、雷、火事、親父」も昔の話。親父は台風を意味しているとの説もあるが、いずれにしても怖いものの象徴だ。だが、最近の父親は子供が小学生ぐらいまでは公園でサッカーをしたり、家でもゲームなど友達感覚で一緒に遊ぶことが多いと聞く。共働きが増える中で、家事や育児を父親が行うことも当たり前だ▼テレワークが普及し始め、父親が家にいる時間が増えた。自粛が徐々に緩和され従来通りの出社が可能になっても、働き方改革の流れの中で企業はこの新しい勤務形態を残していくことだろう。これまでと違う環境で仕事をするのは色々とストレスも感じる。休校中は子供と一緒にいることになるが、文字通りのマイホームパパとはなかなかいかない▼家族といる時間が長くなると、子供が父親に対する見方も変わってくるのだろうか。威厳を保つことをとっくに諦めたという人達も、今度の日曜は父の日。どんな感謝の気持ちが贈られるか期待しながら、家庭における新しい生活様式を真剣に考えないと。(20・6・18)

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