富士フイルム子会社の富士フイルム富山化学は23日、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)について、新型コロナウイルス感染症の患者を対象に今春から進めていた国内第3相臨床試験(治験)で有効性に関する主要評価項目を達成したと発表した。詳細なデータ解析と申請に必要な手続きを進め、10月中にも新型コロナ治療薬での一部変更承認を申請する計画だ。
156例を解析対象とした主要評価項目の中央値は、アビガン投与群で11・9日、プラセボ投与群では14・7日となり、非重篤な中等症の肺炎患者にアビガンを投与することで早期に症状を改善する統計学的有意差が認められた。安全上の新たな懸念はみられなかったという。
アビガンを巡っては、コロナ薬としての承認も目指して3月末から治験に着手。ただ、治験の参加者集めが難航して当初の計画よりも時間を要していた。
国内では、米製薬大手ギリアド・サイエンシズがエボラ出血熱の薬として開発を進めていた「レムデシビル」と、抗炎症薬「デキサメタゾン」の2つがコロナ薬に認定されている。厚生労働省はコロナ薬を迅速に審査する方針を示しており、申請から1カ月程度で承認される可能性がある。