富士フイルムは5日、新型コロナウイルス感染の有無を調べる抗原検査キットの開発に乗り出したと発表した。「銀増幅イムノクロマト法」と呼ぶ写真の現像プロセスで用いる独自技術を応用。横浜市立大学から抗体の提供を受け、高感度で迅速に検出できる検査キットとして2020年内の開発完了を目指す。季節性インフルエンザとの同時流行に備え、国は新型コロナの検査で1日平均20万件程度の体制確立を目標に掲げている。最終製品形態にしたうえで臨床評価を重ね、早期の実用化につなげる。

 抗原検査は迅速に検査を実施でき、その場で結果を確認できる利点がある。しかし、PCR検査に比べて感度が低く、その高感度化が求められている。

 富士フイルムは銀増幅イムノクロマト法を使い、11年からインフルエンザなどの感染症を対象とした感染症迅速検査装置と専用試薬を販売。発生初期などのウイルスや細菌の量が少ない状態でも検出でき、15分以内と短時間で判定結果が得られる高感度な抗原検査システムとして、現在は全国の医療機関に2万4000台を導入している。

 近年は目視で検査可能な装置不要の結核迅速診断キットを欧州薬事に適合。新型コロナの抗原に対しても、銀増幅イムノクロマト法を応用することで抗原検査の高感度化が可能とみて開発を急ぐ。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る