富士フイルム子会社の富士フイルム富山化学は、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)について、新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした国内第3相臨床試験(治験)を開始したと発表した。治験は多施設で100人程度の患者を対象に6月末まで実施する。アビガン投与時の治療効果と安全性を確認したうえで早期の承認取得を目指す。
 すでに国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得しているアビガンは、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐ作用機序を有する。このような特徴からインフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても同様の効果が期待され、臨床応用への検討が進んでいる。
 治験と並行して富士フイルム富山化学ではアビガンの増産準備を進め、すでに生産をスタートしている。今後は国内外のパートナーとの連携体制を構築し、増産を加速させる方針。「政府とも連携し、新型コロナウイルスの感染拡大の抑止や流行の終息、さらには今後の公衆衛生の向上に貢献していく」とコメントしている。

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