富士フイルム子会社の富士フイルム富山化学は21日、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、国内で新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした新たな第3相臨床試験(P3)を開始したと発表した。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は昨年12月、有効性を明確に判断することが困難と、アビガンの新型コロナ治療薬としての承認可否について継続審議としていた。今回、医師にも患者にも投与する薬剤が実薬かプラセボ(偽薬)かを知らせない「二重盲検プラセボ対照試験」を通じて改めてデータを収集し有効性や安全性を検証する。

 治験は発熱などの症状発現から72時間以内で、基礎疾患や肥満などの重症化リスクが高い50歳以上の患者を対象とする。目標症例数は316例。患者の組み入れ状況にもよるが、10月末の終了を予定する。昨年末に承認の判断は持ち越されることになったが、観察研究ではアビガンの投与が認められている。

 今回のP3は昨年実施した治験のなかで、とくに発症早期の患者で症状改善を早める効果が示唆されたことから重症化リスク因子を有する発症早期の患者を対象に行う。重症化した患者の割合を主要評価項目とし、有効性を検証していくとしている。

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