主力の電池材料や電子材料に比肩する事業育成に小池産業が励むなかで、重点に定める一つが健康・医療といったヘルスケア。新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を受け、検査サービスを手がけることを決めた。

<抗原検査皮切りに>
 2020年秋に大阪大学発ベンチャーのビズジーン(大阪府茨木市)の研究用抗原検査キットを発売。検体に唾液を用い、約15分と迅速に正確な判定が得られる。次いで着手したのがPCR検査サービスで、ジー・キューブと協力しながら実践している。すでに小池産業の取引先など企業を中心に唾液を採取する方式のPCR検査キットを提供。利用者はジー・キューブが運営する衛生検査所に検体を郵送し、届いてから24時間以内にスマホやウェブサイトで感染の有無を確認できる。

 PCR検査サービスも高精度であることが特徴で、検査所ではサーモフィッシャーサイエンティフィックの装置と試薬を使用。検査方法は4検体プール方式を採用しており、陽性判定が出た場合は1検体ずつ調べ、陽性者を特定する。

<衛生検査所も活用>
 ジー・キューブは彩都に続いて、6月上旬に八尾市に衛生検査所を設けた。小池産業が八尾市にPCR検査キットを寄贈したといったことが縁となり開設にいたった。彩都では一般消費者や企業などから送られてくる検体の検査を行っているのに対し、八尾は同市内の学校と認定こども園で発生する濃厚接触者を対象としている。両検査所はそれぞれ1日当たり1万5000検体を処理できる。

 八尾では濃厚接触者以外も検査できるようにしたい考えで、準備を進めている。また、独自の保健所を持たない同市に隣接する羽曳野市、藤井寺市、柏原市の3市に八尾の検査所活用を働きかけている。

<スポーツ向け提案>
 PCR検査サービスは品揃えも拡充してきた。スポーツチーム向けに「スポーツ用PCR検査キット」を提案している。鼻孔から約2センチメートルの個所のぬぐい液を検体に使い、採取直前の飲食、歯磨き、うがいの禁止という制約がない。唾液タイプのキットと同様に検体は衛生検査所に郵送し、24時間以内に結果を通知する。スポーツ用はすでに関西ラグビー協会に紹介しており、今後は大学の競技団体にも提案を進める。

 販路も広げる。これから製品群に加える抗体検査キットを含め、各種キットはドラッグストアや通信販売でも購入できるようにする。八尾市を中心に店舗を展開するドラッグストアには陳列が始まっている。(池田旭郎)

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