たんぱく分解酵素阻害剤「カモスタットメシル酸塩」の新型コロナウイルス感染症薬への転用を目指す取り組みが相次ぐ。小野薬品工業は、予定被験者数110人で第3相臨床試験(P3)を開始。後発薬を手がける日医工も米子会社を通じ同国でP2を立ち上げた。結果に応じ日医工は年明けにも緊急使用許可(EUA)申請を行う計画だ。

 慢性膵炎治療などに使う同剤は、小野が創製し、「フオイパン」という名称で販売。1996年に特許が切れ、日医工などが後発薬を出している。新型コロナウイルス感染症をめぐっては、感染初期段階で生じるウイルスの外膜と細胞膜の融合を阻止するとして、治療薬になり得るとドイツの研究チームが報告している。

 今回の小野のP3は、6月から実施していたP1の結果を踏まえ、決定した。試験デザインは二重盲検無作為化比較試験。フオイパンもしくはプラセボを、1日4回、経口投与する。

 日医工は、米子会社セージェント・ファーマシューティカルズが実施する。少なくとも一つの基礎疾患を有するハイリスクの外来患者が対象。承認後、日医工の静岡工場(静岡県富士市)から米国に供給していく。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る