今年も後半に突入する7月1日。国内の多くで山開きが行われる時期だが、昨年に続き中止するところが相次いでいる。例年は今月上旬頃に集中する海開きも、中止や2年ぶり再開とまちまちだ。昨年の分まで取り戻したいとの思いは重々承知だが、コロナを乗り切るには今が勝負所でもある▼かつては信仰行事で平日の登山は禁止されていたものの、夏の一定期間だけそれが解かれたことが山開きの由来。健康効果が注目され日本でも本格的に海水浴が行われるようになり、昭和に入り海水浴場組合が誕生した頃からシーズンが始まることを山開きにならい海開きと呼ぶようになった▼海派の人は山に対し虫、トイレなどの設備、天候変化、山派の人は海に対し日焼け、ベトベトする海水、着替えやシャワーが面倒などの課題を挙げる。傾向としてアクティブ志向が強い若い人は海派、一方で歳を経るに従い癒しやリラックスを求め山派が増えるという。そう考えると、順調に歳を重ねていると自己分析できる▼だが、山も海も憩いの場であるとともに、時には我々に厳しい試練を与える。自然災害は地球温暖化の進行による影響も指摘され、生命に関わる事故も後を絶たない。今年、山や海に向き合う機会があるとすれば、いま一度、自然の重さ、尊さを感じることができればいい。(21・7・1)

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