物質・材料研究機構(NIMS)は6月、医薬品関連マテリアルズオープンプラットフォーム(MOP)を発足した。武田薬品工業など11社が集まり、抗体医薬と核酸医薬における物性評価や製剤化について、標準化技術などの確立に取り組む。プラットフォーム長の川上亘作グループリーダーは塩野義製薬などで化合物評価の研究を手がけてきた。10年以上前から企業間の共同研究の取り組みが必要だと考え、NIMSへと移りMOPの立ち上げにこぎ着けた。MOP設立の目的と意義について同氏に聞いた。

◆…物性評価や製剤化技術はなぜ重要なのでしょうか。

 「薬を作っていくうえで、まず創薬があり、次のステップとして製剤がある。製剤化技術やそれに必要な物性評価というのは、昔から重要だと考えられてきた一方で、日本の企業では創薬部門の発言力が強く、リソースが割かれにくい環境にあった。海外に目を向けると、優れた製剤化技術を持っていたモデルナは、新型コロナウイルスのワクチンを迅速に実装できた。RNAは体に入れるとすぐに分解してしまう。こうした問題を解決するのが製剤化技術だ。物性評価は、製剤の検討や体内での振る舞いを予測するために使われる。海外ではマテリアルサイエンスと分類され、積極的な技術開発が行われているが、バイオ医薬品ではこの物性評価手法がまだ標準化されていない」

◆…なぜ抗体医薬と核酸医薬を題材にしたのでしょうか。続きは本紙で

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

インタビューの最新記事もっと見る