川崎重工業はこのほど、ロボットによる新型コロナウイルスの自動PCR検査サービスを開始すると発表した。感染リスクがともなう工程をロボットが行い、80分以内という短時間で結果を出す。まず成田国際空港、羽田空港、関西国際空港など国際空港で年明けをめどに導入し、航空機需要や経済活動の再開・復興に貢献する。

 自動PCR検査システムは、採取した検体を開栓分注工程から核酸抽出、試薬調整、PCR検査までロボットが自動で行う。40フィートコンテナに、システムをコンパクトにパッケージ化し、トレーラーで移動できるようにする。世界で認められた検査方式(RT-PCR)を採用し、従来のPCR検査では96検体まとめて処理するのに対して、同社システムは8検体をシーケンシャルに処理するようにしており、検体採取後、検査終了まで80分以内で行う。1コンテナ当たりの処理能力は、2000検体(稼働時間16時間)で、コンテナの台数や稼働させるロボットの数を増減させ、処理能力の増減に柔軟対応できる。

 川崎重工では、検査の受付から病院との連携による検査結果通知、陰性証明書の発行、陰性が証明できない場合には、提携病院に案内して受診してもらうことを、一連のサービスとして提供する。ロボットが検査を行うため、人件費は抑えられる。個人負担は1万円程度を想定する。国内の国際空港のほか、海外主要空港への展開も検討しているほか、各種イベントでの採用を提案していく。

 同社は、メディカロイド、シスメックスと新型コロナウイルス感染拡大の初期から、医療従事者を感染リスクから守ることを目的に、社長直轄プロジェクトとして、ロボットによる自動PCR検査システムの開発に取り組んできた。経済復興に向け、安心に移動できることが世界的に重要となっている。医療関係者が遠隔で操作し、鼻腔から検体を採取するロボットについても開発を進めており、感染防止や検査効率のさらなる向上を目指す。

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