決算発表が出揃った。増収増益を達成し、通期で過去最高業績の更新を見込む化学企業も一部あるが、大半は減収減益で、赤字に陥った企業も少なくない。リーマン・ショックを大きく上回る衝撃をもたらしている新型コロナウイルスの感染拡大は収まる気配がなく、戦々恐々とした状況が常態化しつつある▼そもそも新型コロナはどこから生まれたのか。中国・武漢のウイルス研究所から発生したと取り沙汰されているが、生物兵器というには致死率が低く、回復率が高い。同研究所から何らかの理由でウイルスが漏洩したのか。天然物なのか人工物なのか、疑問は尽きない。しかし、この間にも変異しているのは間違いなさそうだ。専門家によると、今後も変異し続け、弱毒化・強毒化する可能性もあるという▼ワクチンと治療薬の開発・実用化が待たれる。それまで検査体制を拡充するしか術はないだろう。リスクをゼロにすることは不可能だが、減らすことはできる。将来の新たな感染症の危機への教訓にもなろう▼日本の化学企業は検査薬やワクチン・治療薬の開発でも大きく貢献している。一日も早く成果が実ってほしい。政府は布マスクを何千万枚も追加配布しようとしたが、それよりも検査を拡充しワクチン・治療薬の開発に振り向けるべきではと強く思う。(20・8・24)

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