日本の人口が1億人を突破したのは1967年(昭和42年)。いざなぎ景気のまっただ中だった。その後、人口は1億2000万人台で頭打ちとなり、約10年前から減少に転じている。何も対策を打たないと2050年代には1億人を割り込むといわれる▼国土が狭い日本だけに人口減少が良いか悪いかの議論はあるだろうが、少子化の進行は社会や経済にさまざまな影響を及ぼす。このほど閣議決定された第4次少子化社会対策大綱は2025年までの方向性を示している▼基本的な目標は、「希望」する時期に結婚でき、「希望」するタイミングで、「希望」する数の子供を持てる社会をつくること。そして、「希望出生率1・8」の実現を阻む隘路の打破に取り組むとある▼希望出生率は安倍政権が5年前に掲げた目標で、子供がほしい人の希望がかなった場合の出生率。一定の仮定に基づき計算された数値というが、そもそも抱く希望は人それぞれ。別添の資料にも3ページにわたって数値目標が並ぶ。その数値を達成した日本の社会はどんな姿になっているのか。多くの人の希望はかなえられているだろうか▼コロナ禍によって出産や育児への不安はさらに広がる懸念がある。大綱の副題「新しい令和の時代にふさわしい」支援策はどうあるべきか。難しい課題が突きつけられている。(20・6・5)

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