新年度が始まった。コロナ禍の苦しい時期は続くが、時間は確実に進んでいる。昨年の各社の入社式は中止や縮小が相次いだ。オンライン中継などさまざまな形で新入社員に向けられたトップのメッセージには、この苦難を乗り切り、未来に向けて行動し続けてほしいといった思いが込められていた▼そして1年後。今年もほとんどの化学企業がオンラインを駆使しながら、社長のビデオメッセージを流す。工夫を凝らして対面形式を復活させる企業もある。その後の研修も各事業所に分かれ少人数での実施が多い。振り返れば、コロナ禍の会社しか知らない昨年入社組はどう感じていることだろう▼オリンピック・パラリンピックは海外客がいないなか成功裏に終わり、コロナワクチンは全国で接種が完了し終息がみえている。米中摩擦は解決の糸口が見つかり、世界経済の秩序が保たれる。2050年のカーボンニュートラルに向けて、いよいよ世界が具体的な行動に出る。21年度は、さまざまなことの転機の年となるだろうか▼不確実性の時代に、さらに不確実な要因が重なった昨年度。果たして今年の新入社員に向けてトップはどんなメッセージを贈るだろう。希望的観測だけでは断言できないが、一歩でも昨年より前向きな、より希望に満ちた言葉が溢れることを期待している。(21・4・1)

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