帝人は23日、内川哲茂取締役常務執行役員が2022年4月1日付で社長執行役員CEO(最高経営責任者)に就任する人事を発表した。鈴木純社長は代表権のない取締役会長に付く。23年度からの新たな中期経営計画の策定作業が本格化するタイミングに合わせて社長を交代、新体制の下で次の成長戦略の絵を描く。

 内川氏はアラミドを中心とする高機能繊維事業を長く歩み、海外経験も豊富だ。同日行われた会見で、鈴木氏はアドバイザリーボードで内川氏が社長に指名された理由について「人を引きつける包容力と決断力を兼ね備えている点が評価された。過去にとらわれず論理的に判断し、実行できる力がある」と語った。

 内川氏は「先輩方が築き上げた有形無形の資産を引き継ぎ、私の色も加えながら未来を作っていきたい」と抱負を述べた。足元の課題については「マテリアル、ヘルスケア事業領域も成長基盤の確立は道半ば」とし「30年に向けてスピード良く、次の展開に持っていきたい」と力を込めた。

 鈴木氏は医薬開発研究所長、炭素繊維・複合材料事業本部長などを経て14年に社長に就任。北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーのコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(現テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズ)を約840億円で17年に買収、従来の素材から成形加工へと事業の川下展開を図った。

 21年には武田薬品工業から糖尿病治療薬などを1330億円で事業買収、富士フイルムグループで再生医療事業を手掛けるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)を傘下に収めるなど、マテリアル、ヘルスケアの両事業領域で成長、事業基盤強化への道筋を築いた。

 〔内川 哲茂氏=うちかわ・あきもと〕1990年(平成2年)信州大学繊維学部修士課程修了、帝人入社。13年高機能繊維事業本部ソリューション開発部長兼大阪研究センター長、20年帝人グループ執行役員複合成形材料事業本部長、21年取締役常務執行役員マテリアル事業統轄。滋賀県出身、55歳。

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