やろうと思えば、誰でもできますよ。その社長は言った。毎日2万歩以上、歩いているという。ゴルフでも18ホール全てを歩く。歩くというより半分は走っている。たとえ連チャンのゴルフでもカートには乗らない。そして、家に帰ってから2万歩に足りない分を追加で歩くのだという▼誰でもできる。確かに可能性としてはそうかもしれない。しかし、ほとんどの人はできない。平均的な成人男子の場合、2万歩を距離に換算すると16キロメートルほど。通常なら3時間はかかる。歩くことの多い仕事に従事しているならまだしも、デスクワークが中心の生活でそれを毎日続けるには、相当な意思の強さが必要になる▼目標を定め、着実にやり切る。そのために必要なのは、必ず達成するという意思の強さだ。そして大抵の人は、挫折してしまう。今日は疲れている。時間がない。天気が悪い。足が痛い。さまざまな言い訳が完遂を阻む。誰でもできますよ。その言葉の裏にあるのは、実は強烈なメッセージに違いない▼後ろの組が打った強烈な打球がわれわれのティーグランドまで転がってきた。打ち込んだのは、あのプロ野球チームの中心打者。日本シリーズの鬱憤を晴らすショットだったのだろうか。来年こそは試合で馬鹿当たりを披露する、そんなメッセージと受け止めた。(20・12・15)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る