新型コロナウイルス感染症の収束がいぜん見込めないなか、政府で中心になって対策に取り組むのが後藤茂之厚生労働大臣と堀内詔子ワクチン接種推進担当大臣の2人だ。足元、感染者数は落ち着きが見えているものの、治療薬の開発、ワクチン接種の促進など課題は山積みだ。5日、就任後の初会見に臨んだ両大臣に意気込みや今後の取り組みなどについて聞いた。

 後藤茂之厚生労働大臣 治療薬など実用化に力

 - これまでの新型コロナ対策について。

 「やってきたことは間違いではないが、もう少し迅速な対処ができたのではないかと思っている。感染の拡大に病床確保が追いつかない事態が起きたことは非常に重く受け止めている」

 - 今後のコロナ対策に関してどうでしょうか。

 「総理からは、ワクチンや治療薬の実用化と確保、病床および医療人材の確保、在宅療養者への対策の徹底、検査の拡充、わが国の健康危機管理の抜本的強化を指示されている。今回、何がボトルネックになったのかをよく検証していく。今後は、危機管理庁の発足も含めて対策を検討する。また、ワクチン接種推進担当相やコロナ対策担当相などとも連携し、コロナ対策についてもう少しわかりやすい全体像を示していきたい」

 - 薬価改定に対する考え方は。

 「総理からは医療従事者の所得向上のために公定価格のあり方を抜本的に見直すように指示を受けている。イノベーションや長期収載品の評価をどうするかや、透明性や予見性をどう担保するかなどさまざまな事項を踏まえたうえで、薬価改定の検討を進めていく」

 - 今後の心がけや意気込みは。

 「政策の根拠について国民の皆さまとしっかり政策対話を行いながら進めていくことが大切になると思っている。自民党コロナ対策本部座長を務めた経験も生かして、皆さまの意見を聞きながら身を引き締めて一生懸命取り組んでいきたい」

 〔後藤 茂之氏=ごとう・しげゆき〕、2000年衆議院初当選。現在6期目。自民党の新型コロナウイルス感染症対策本部の座長などを務めた。初入閣。

 堀内詔子ワクチン接種推進担当大臣 有効性・安全性、広報を

 ― とくに力を入れる政策は。

 「足元で、全人口の7割が1回目接種を終えており、これは米独を上回る。同様に、2回目接種完了率も米国を上回っており、引き続き、着実に接種を進める。ワクチン接種を円滑に推進するため、自治体を中心に事務調整を念入りに行う。また、若年層への接種を進めるため、ワクチンの有効性、安全性についての広報をより積極的に取り組む。岸田総理からも、後藤厚生労働相、山際コロナ対策担当相と協力して当たるよういわれている」

 ― ブースター接種については。

 「厚生労働省のワクチン分科会で審議、調整している。3回目をやる方針は示したが、対象範囲や細かい接種の方法などについては何かいえる段階にない。自治体や医療関係者と相談して進める。各自治体には3回目接種の準備を進めるよう厚生労働省から促している」

 ― 最終的な接種率の目標は。

 「明確に出せる数値はないが、ワクチンの数は確保しており、希望する国民全員が接種できる体制を整えていく」

 ― 大臣としてどのように貢献していきますか。

 「河野前大臣は、1からのスタートで、ワクチンの確保や体制整備に尽力された。方針を引き継ぎ、接種を望むが予約が取れない、接種できていない状況の改善に取り組む。また、接種を迷っている人に正しい情報をしっかり発信する環境を整えていく」

 ― ワクチン非接種者への差別については。

 「体質的に接種できない、気持ち的にためらう人がいるのは当然のこと。情報発信とともに、ワクチンを接種しないことによる差別が起こらない風潮作りにも励んでいく」

 〔堀内 詔子氏=ほりうち・のりこ〕、2012年衆議院初当選。現在3期目。菅内閣では環境副大臣兼内閣府副大臣。

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