あれは昨年のことでしたっけ、それとも一昨年だったかしら。コロナ感染症の流行から2年以上が経ち、そんな会話が増えた。行動制限で日常生活が単調化し、毎年恒例の行事も次々と中止され、過去の出来事の時系列が曖昧になってしまった。四季の変化のない常夏の国に居住すると、似たようなことが起こるという▼まん防期間が終了してほぼ1カ月が経った。弊紙でも取材記者の国内出張がポツポツと復活してきた。感染者数の減少は緩やかでリバウンドを心配する声も少なくないが、このまま沈静化することを期待したい。そして、さまざまな行事や海外出張なども復活すれば、時計の針の進みも正常化するだろう▼オフィスを縮小してしまったので、コロナが収束してもテレワークですね。そんな会話も増えた。支店のオフィスを廃止し、替わりにサテライトオフィスを契約したとの話しも聞く。時間の感覚は元に戻っても、働き方や行動パターンはニューノーマルに移行する▼サテライトオフィス通いでは、帰りに一杯行きましょうという機会も減る。昭和生まれのバブル期育ちにとって、一抹の寂しさを否定できない話しではある。溜まった飲み屋の領収書を精算しようとして、あれは誰と行ったのかしら、うーん思い出せない、と悩む日は戻ってこないのだろうか。(22・4・19)

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