為替と株価は一喜一憂してはならないと言われているが、急激な円安に気を揉む経営者は多いのではないか。円相場は20日、約20年ぶりに1ドル=129円台をつけた。年初は115円前後だったから、4カ月も経たないうちに14円下落したことになる▼原因は日米の金利差拡大との指摘が多い。インフレを抑制したいFRBは金融引き締めに意欲的なために長期金利が上昇。一方、日銀は金融緩和を継続する姿勢を崩しておらず、それによってドル買い・円売りが強まっているとの見立てだ▼円安は輸出企業にとって追い風になるので日本経済にはプラスに働くというのがこれまでの常識だった。しかし、製造業の海外シフトが進み以前ほどの恩恵はなくなり、輸入価格の上昇というマイナスの影響が大きくなりつつある▼ここにきて「悪い円安」を警戒する声も上がっている。輸入コストの増加は企業収益を悪化させるが、その分を転嫁するために値上げすれば買い控えが起こり悪循環に陥りかねないというものだ。ただ、原油にせよ小麦にせよ円安の影響というより価格そのものの高騰が問題だろう▼2002年の円安時には130円を突破したものの、長続きせず年末には120円前後の水準に落ち着いた。今年はウクライナ情勢など先行きが見通せない状況が続くだけにどうなるか。(22・4・22)

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