すべてのモノがネットワークにつながるIoT時代を迎えようとしている。インターネット社会の進展は多くの恩恵をもたらしたが、その一方で招かざる者につながるリスクも高まっている。サイバー攻撃は巧妙かつ悪質になっている▼ここ数年、問題となっているのがランサムウエア。攻撃者は個人や組織の重要な情報にアクセスして暗号化し、その解除と引き換えに身代金(ビットコイン)を要求する。つい最近も大手ゲームメーカーが攻撃を受けたことを発表。顧客などの個人情報が最大で35万件流出した可能性がある▼トレンドマイクロによると、かつてはメールを使ってランサムウエアをばらまくのが主流だったようだが、一攫千金を狙っているのか企業を標的にしてネットワークに直接侵入するケースが増えているという▼被害を受けた側は暗号解除の保証がないので身代金を必ず払うとは限らない。そこで攻撃者が闇サイトで感染させたことを明らかにして盗んだ情報を小出しに暴露して支払いを迫る二重脅迫型が登場している。感心してはいけないが、よくそこまで悪知恵が働くなと思う▼防御性能が進化したとしても、それを乗り越えようと攻撃側も新たな手口を考え出し仕掛けてくるに違いない。このような“いたちごっこ”は果たしていつまで続くのだろうか。(20・11・27)

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