3月は卒業や人事異動と環境が大きく変わる季節。本来なら歓送迎会があちこちで開かれるはずだが、1都3県では緊急事態宣言が延長され、1都3県以外でも第4波、第5波のリスクが残るなか、自粛せざるを得ない状況にある。日本でも医療従事者からワクチン接種が始まったが、まだ緒に就いたばかり。飲食店や宴会場にとっては2年連続で厳しい春となりそうだ▼昨年の今ごろ、WHOが新型コロナをパンデミックと宣言し、スーパーやドラッグストアでトイレットペーパーが姿を消した。日本だけでなく、欧米や東南アジアでも同じ現象が起きた。SNSで「トイレットペーパーがなくなるらしい」というデマが広がったのが要因で、1カ月ほど入手困難な状態が続いた▼人は簡単にパニックに陥る。危機に際し僅かな可能性があると、その可能性を信じた多くの人が殺到する。半世紀前のオイルショックの際もトイレットペーパーに殺到したらしい。現代はSNSで真偽不明を含め多くの情報が錯綜し、パニックが一層起こりやすい。昨年のトイレットペーパー騒動は、在庫が豊富にあると繰り返し報道されたことで収束した。正しい具体的な情報の重要さを示した好例だ▼情報を発信する側は正直で正確でなければならず、情報を受け取る側は冷静な判断力が必要だ。(21・3・8)

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