ある人から、とあるスマートフォンのアプリを教えてもらった。運航中の旅客機の運航状況をリアルタイムに確認できる。世界地図を飛び交う航空機の数、数、数。まさにウンカのごとくだ▼旧正月のお祝いムードも吹き飛ぶ勢いで、新型肺炎の感染が広がっている。とくに先週から深刻さが増したようだ。膨大な数の航空機は人々とともにウイルスを世界中に運んでしまう可能性がある。それを完全に回避するのは難しいことをアプリは教えてくれる▼新型のコロナウイルスが原因とされる今回の肺炎は、SARS(重症急性呼吸器症候群)を連想させる。02年11月から03年7月にかけて猛威を振るったSARSでは、流行地だけでなく、日本を含む東アジア地域への渡航を控える動きが世界的に広がり、経済にも影響を与えた▼当時、楽しみにしていた英国ロックバンドの日本公演が中止になりガッカリしたことを思い出す。ボーカリストが脊髄を損傷したことが理由と説明されたが、明らかにSARSを恐れてのことだった。翌年になって来日したそのボーカリストは、ステージを跳ね回っていた▼SARSより感染力が強いともいわれる今回の新型肺炎。その影響がいつまで続くのか定かでない。まずは、関係者の安全確保とリスク回避を進めながら、早期の終息を願うしかない。(20・1・28)

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