経済がどれほど大切なのか。今回のコロナ禍は具体的かつ詳細に教えてくれる。戦争や略奪に頼らない今のわれわれの社会は、あらゆる人々がさまざまな分野で日々お金を稼ぎ、同時にさまざまな分野でお金を遣うことで成り立っている▼感染拡大の防止策と経済対策。どちらが重要なのか世界で議論が起きている。感染が拡大する過程においては、その防止策の方が重要に決まっている。一時的に経済が疲弊したとしても、まずは感染症に打ち勝ち、そのうえで経済を再生するのが正しい順番のように思える▼しかし疑念も涌いてくる。本当に感染拡大を防止できるのだろうか。ほとんど、どの国もできなかったことだ。こうも感じる。感染症と経済破綻とを比較して危険さに優劣はあるのか▼日々、ニュースで流れる新たな感染者の数。心が痛むのと同時に、虚しさも感じる。PCR検査の数を強く抑制しているからだ。その数値をもって日本の実態のように報道する意味があるのだろうか。そして政府や都道府県がその数の推移をベースにものを考えることは正しいのだろうか▼さまざまな教訓、さまざまな反省点を残すであろう新型コロナ禍。ちぐはぐさの原因をつきとめ、改善することが重要だ。誰かを正当化するため、あるいは批判をかわすための議論に陥ってはならない。(20・4・21)

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