慶応義塾大学などの共同研究グループは、日本人の新型コロナウイルス感染症重症化にかかわる因子の有力候補を発見した。大規模ゲノムワイド関連解析を行い、免疫機能に重要な役割を担うことで知られる「DOCK2」と呼ばれる遺伝子領域の遺伝的多型(バリアント)が65歳未満の非高齢者の重症化リスクと関連することを示した。診断・治療へ展開できる可能性があり、今後、大規模化した研究の継続やさまざまな機関と協業する方針だ。

 東京医科歯科大学、大阪大学などと昨年5月に立ち上げた「コロナ制圧タスクフォース」で、3400人以上の患者血液検体と臨床データを集積し、遺伝子型を網羅的に比較する大規模ゲノムワイド関連解析を実施した。日本人集団を代表するように幅広い地域から集めた対照群サンプルのDNAと比較した結果、日本人の新型コロナ患者では5番染色体上の領域「5q35」のヒトゲノム配列の多型(バリアント)が、非高齢者において約2倍の重症化リスクを有することを突き止めた。

 同領域には免疫機能に重要な役割を担うDOCK2遺伝子を含む。DOCK2遺伝子領域のバリアントは、先行する欧米の研究では同定されていない一因とされ、日本人をはじめアジア人特有の重症化因子の有力候補である可能性があるという。

 また、ABO式血液型と日本人新型コロナ感染症とのかかわりを調べたところ、欧米人集団での報告同様、O型は新型コロナウイルス感染症における重症化リスクが約0・8倍と低かった。一方、AB型は重症化リスクが約1・4倍高くなる傾向が判明した。

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