アルバート・アインシュタインが一般相対性理論の構想時に残した直筆のメモがパリで競売にかけられ、約15億円で落札された。直筆の科学文書の落札額としては過去最高という。ほとんどメモを残さなかったアインシュタインのものだから、世界中のコレクターの注目を集めた▼新聞記者は取材時にノートにメモをとる。小生が駆け出しの頃は今みたいにインターネットが普及しておらず、性能のいいボイスレコーダーのような重宝するものもなかった。だからノートにびっしりと書き記し、原稿を仕上げる際に不明な部分は広報窓口などに聞いたり資料・文献を調べる▼だが、締め切りに迫られると時間を要する作業は避けたいので、正確に取材メモをとるように心がけていた。経験を積んで来ると得意な分野や何度か取材しているテーマなどはポイントを記すだけで事足りるようになる。しかし、初心忘るべからず。初めてのテーマや、流行の横文字が頻発する内容の取材は変わらずメモをとるのに必死だ▼今では、忘れてはいけないことは簡単な事柄でもスマホにメモっておく。本欄のようなコラムも思いついたらスマホに書き記している。後々になって価値が出るのであれば手書きでメモることも考えるが、全く不毛な心配なので時代に沿って今まで通りスマホに記すことにする。(21・12・2)

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