東ソーは21日、新型コロナウイルスの抗体検査薬の開発に着手すると発表した。大型病院を中心に導入され、がんや感染症などの診断に使われている全自動化学発光酵素免疫測定装置「AIA-CL」シリーズに用いる試薬で、感染後期に発現するIgG抗体の量を高感度に測定できる。早ければ2020年中に完成させる計画。

 抗体検査はウイルスに対する免疫獲得を調べるもので、感染歴の把握やワクチンの研究開発などに利用できる。国は6月にも1万人規模の抗体検査を実施する方針を打ち出している。新型コロナの流行が長期化するなか、抗体検査の需要は広がる見通し。

 東ソーは、横浜市立大学と関東化学の共同研究で見いだされた新型コロナウイルスの抗体検出法を検査薬開発に応用する。実用化に向けて同大とは臨床評価、関東化学とは試薬原料について連携する。

 AIA-CLシリーズは血清を検体に用い、測定結果を得るまでに約15分と短く、1時間当たり240テストを処理できる。大型病院を中心にすでに導入されている既存の装置にコロナ用の検査薬を装填すれば抗体量を測定できる。

 抗体検査薬は米アボットやスイス・ロシュといった海外大手が研究用試薬を発売しているほか、シスメックスなど国内大手も相次ぎ開発に参入している。

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