新型コロナウイルスによる肺炎の脅威が日に日に増している。政府は、新型肺炎を感染症法上の「指定感染症」とする政令を1日付で施行した。これにより感染者の入院など強制措置が可能になる。7日付の予定だったが前倒しした▼中国・武漢市での集団発生が公表されたのは昨年末。当初は人から人への感染はないとされたが、そうではなかった。一連の経緯を巡り、中国当局の初期対応への批判、発表情報の信頼性への懸念が強まる。緊急事態宣言を躊躇したWHO(世界保健機関)にも批判の矛先が向く▼日本政府はチャーター機により在留邦人の帰国に動いたが、国内での感染拡大防止策は「諸外国に比べて緩い」という声が高まる。第1便の帰国者を収容した民間ホテルで一部の人が相部屋を余儀なくされたことは、専門家ならずとも呆れるばかりだ▼しかもその中に、特段の症状がない「無症状病原体保有者」が確認された。咳や発熱がなくても検査結果が陽性だった。同様の感染者は中国にも他の国にもいるだろう。効果的な対応策を早急に見出したい▼さて、一部でこの人たちを「隠れ感染者」と呼ぶ。これはいかがなものか。隠れているのは病原体であって、それは本人の責任ではない。悪質なデマやフェイクニュースに踊らされないことはもちろん、無神経な言葉遣いも戒めたい。(20・2・3)

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