今年は市民ランナーにとって受難の年だった。コロナ禍で大会が軒並み中止となった。一人で走って記録を送るオンライン大会が開かれているが何だか味気ない。マラソンは自分との戦いといわれるが、見知らぬ同志とともに走り、見知らぬ沿道の人からの声援に元気をもらう。それが“リアル”大会の大きな魅力だ▼目標がなくなり惰性で走っていてもタイムは上がらない。そこで思い切ってランニングシューズを買い換えた。A社の厚底タイプ。ソールはつま先にかけてカーブを描き、先端は宙に浮いている。時間の経過にともなうランナーへの体を負担を軽減するという▼半信半疑で走ってみると、それほど力を入れなくてもそこそこのタイムが出た。しかし、自らの意思で走っている気がしない。シューズに走らされているような感じがする▼1カ月半が過ぎた頃、いつもとは違う部位が痛み出した。知らないうちに無理が重なっていたのだろう。整骨院でみてもらうと、厚底はそれなりに鍛えていないと怪我をしやすいようですねと忠告された▼道具の進化に体がついていけなかったということか。痛みは引いて回復に向かっているが、厚底は当面封印することにした。新たな挑戦はリスクがともなうことを身をもって知った。どうやって履きこなすか、来年の課題が一つできた。(20・12・25)

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