オオカミなどの肉食獣を徹底的に駆除した結果、シカ、イノシシなどの草食獣が増えてしまい獣害に苦しむようになった。よく聞く話である。その反省から、米国のとある国立公園にオオカミを復活させた話も有名である▼昭和の時代まで、日本にはおなかに回虫がいる人が7割もいた。小学校でポキールというシールで検査をしたことを思い出す。その後、回虫は急激に撲滅され、学校での検査も義務対象から外された。しかし、回虫を撲滅した代償として、日本人は花粉症やアトピー性皮膚炎に悩まされるようになったという▼人間は往々にして、良くないと聞かされたもの、あるいは不都合と感じるものを憎むようになり、それを撲滅することに熱心になる。これがいったん社会のコンセンサスともなれば、迫害の動きには歯止めがかからない▼この瞬間でいえば二酸化炭素、あるいは石炭である。将来、二酸化炭素を排出するものは何でも攻撃するAI搭載のドローンでも開発され、地球から生物がいなくなりそうな勢いではないか。そうはいっても、国際社会でいま日本は、有罪確実の容疑者のような立場にある。何とかしなければならない▼ところで最近、回虫は少しずつ復活している。有機野菜がブームになっているためらしい。花粉症とどっちが良いのか悩むところだ。(20・1・14) 

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